こんにちは。管理人のhymagooです。
先日、グラフィックボード(GPU)を「RTX 3060 Ti」から、VRAM 16GB搭載の「Radeon RX 9070 XT」にアップグレードした記事を書きました。
今回は、その移行の裏で発生した、Windows 11のクリーンインストールを巡る冷や汗もののトラブルと、その解決プロセスをお届けします。
はじめに
GPUの載せ替え自体はハードウェア的にはスムーズに完了しました。
その後、念のため古いNVIDIAのドライバーをきれいに削除してから最新のRadeonドライバーをインストールし、一見すると何の問題もなく動いているように見えました。
しかし、使い始めてしばらく経ったある日、「ドライバーが正しくインストールされていません」という不穏なエラーメッセージが画面に表示されるようになりました。
「ドライバーの競合やOSのシステムファイルに何か見えない不具合が生じているのかもしれない」
そう判断した私は、システム環境を完全にリフレッシュするため、Windows 11の「クリーンインストール」を決断しました。これが、数時間に及ぶハマり道の入り口だとは知らずに……。
発生したトラブル:OSインストール画面にいかず、BIOSに逆戻り

まずは別の正常に動くPCを使い、Microsoft公式サイトからWindows 11の「インストール用USBメディア」を手順通りに作成しました。
そして、グラボを交換した対象のPCにそのUSBメモリを挿し、電源を投入。
通常であれば、USBメモリ内のインストーラーが読み込まれ、Windowsのインストール初期画面へと進むはずです。
しかし、画面が暗転した後に表示されたのは、お馴染みの「BIOS(UEFI)設定画面」でした。
「起動順序(Boot Order)の優先度が悪かったかな?」と思い、BIOS上で手動でUSBメモリを最優先に指定して再起動してみるものの、やはり再びBIOS画面へと戻ってきてしまいます。何度試しても、OSインストーラーへ進む気配がありません。
エンジニア的トラブルシューティング:5つの切り分け
最悪の場合、今回のGPU交換に伴う電気的なショックや相性問題で「マザーボードが物理的に壊れたのではないか」という不安が頭をよぎりました。
マザーボードの買い替え(数万円の出費)を覚悟しつつ、まずは仮説を立てて、可能性のある原因を一つずつ潰していくことにしました。
仮説①:ブート優先順位(Boot Priority)の誤り
- 対策: BIOS画面でUSBドライブが最優先になっているかを再確認。問題なく1番目に指定されているにもかかわらず起動しないため、原因は別にあると判断。
仮説②:UEFI / CSM(レガシー)のモード不一致
- 対策: 現在のWindows 11は「UEFIモード」での起動が必須です。BIOSの設定が古い「CSM(互換性サポートモジュール)」になっていないか、あるいはレガシーブートが干渉していないかを確認しましたが、設定は「UEFI専用」になっており、問題ありませんでした。
仮説③:USBポートの相性問題
- 対策: 挿しているUSBポートが青色の「USB 3.0/3.2」ポートだったため、マザーボード直結の黒色の「USB 2.0」ポートに挿し直してみました。相性によって起動しないケースがあるためですが、今回はこれでも状況は変わりませんでした。
仮説④:インストールメディアの作成失敗
- 対策: 作成したUSBメモリ自体のデータが破損している可能性を疑い、再度インストールメディア作成ツールを走らせてUSBメモリを丸ごと作り直しました。しかし、結果は同じくBIOSへのループでした。
仮説⑤:Secure Boot(セキュアブート)の干渉
- 対策: Windows 11のシステム要件でもある「Secure Boot」。これがONになっていることで、新しく作成したインストールメディアをシステムが「信頼できないブートローダー」としてブロックし、BIOSに差し戻している可能性を考えました。
解決の瞬間:犯人は「Secure Boot」だった
結論から言うと、原因は「Secure Boot(セキュアブート)」でした。
BIOSメニューのセキュリティ項目から「Secure Boot」を一時的に「OFF(Disabled)」に変更し、再度PCを起動。
すると、先ほどまでの頑ななループが嘘のように、画面にWindowsのロゴマークが表示され、無事にOSのクリーンインストール画面が立ち上がりました!
無事にインストール作業が進んでいく画面を見たときは、本当にホッと胸を撫でおろしました。マザーボードを買い替える必要はなかったのです。
なぜ、今になってこの症状が出たのか?
実は、今回使用しているマザーボードでOSのインストールや再インストールを行ったことは、過去に何度も経験がありました。
その際には、Secure BootがONのままであっても、問題なくUSBメディアからインストーラーを起動できていました。そのため、なぜ「今回、GPUを交換したこのタイミング」で、Secure BootをOFFにしなければインストールUSBが認識されなくなったのか、正確な因果関係の理由は正直なところ今でもわかっていません。
おそらく、グラフィックスドライバーやハードウェア構成情報の変更がマザーボード側のセキュリティキー(NVRAM上の情報)に何らかの影響を及ぼし、一時的に外部メディアからのブート制限が厳格に働いてしまったのではないかと推測しています。
インストール後の大事な後処理
無事にWindows 11のクリーンインストールが完了した後は、PCのセキュリティを担保し、Windows 11のシステム要件を満たし続けるために、BIOS設定から「Secure Boot」を再び「ON(Enabled)」に戻しました。
OSが一度SSDへ入ってしまえば、Secure BootをONに戻しても何の問題もなくスムーズにシステムは起動しています。
まとめ:自作PCのDIYは一筋縄ではいかない
今回は、GPU交換の余波によるOSクリーンインストールのトラブル事例をご紹介しました。
「今まで何度もこの方法で成功していたから大丈夫」というこれまでの経験則が、ハードウェア構成のわずかな変化で通用しなくなる。これこそが自作PCのDIYの奥深さであり、同時に最もヒヤヒヤさせられる部分でもあります。
もし皆さんも、Windows 11をクリーンインストールしようとして「なぜかUSBから起動せずBIOS画面に戻ってしまう」というループに陥った際は、ぜひ一度「Secure Bootの一時的なOFF」を試してみてください。
あなたの数時間と、マザーボード買い替え用の数万円を救うヒントになれば幸いです。


